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ドイツ学友会との出会い(痛風にもまけず)ーミュンヘン・オクトーバー・フェスト・ビールの旅ー

ドイツ学友会との出会い(痛風にもまけず)ーミュンヘン・オクトーバー・フェスト・ビールの旅ー

投稿日: 2025-05-25エッセイ(山静学友会)

曽根 眞人(1970-1971年度・GSE)

 もう13年も前になります。世界各国いろいろと旅をしてまいりましたが、特に想い出の深い旅をご紹介したいと思います。その2年前、イギリスでパスポートを紛失し、予定していたドイツに行けなかったので、今回はそのリベンジ、再度ドイツの旅を計画しました。『10月といえばビール!そうだミュンヘンに行こう!』と、ミュンヘンで毎年秋に開催されるオクトーバーフェストに合わせて、ビールを思いっきり楽しむことにしました。
ドイツ直行の航空券は高いので、BAでロンドン経由とし前年の3月にチケットを手配しました。

 ご存じのとおり、オクトーバーフェストはミュンヘンで開催される世界最大のビール祭りで、毎年10月第1日曜日を最終日にその前16日間開催されます。2012年は9月22日から10月7日まで開催されました。私の旅の日程は9月21日にフランクフルト着、10月9日ベルリン発という、ビールにどっぷり浸かる旅にしました。
不思議なことはあるもの、旅の計画を立てて間もなく、学友会ニュースでドイツの学友会がオクトーバーフエスト・セレブレーションを開催するので、世界の学友の参加を募集している記事に目が止まりました。最終日の3日間、世界の学友が集まってビールを飲もうというものです。そして、宿泊はホームステイとのこと、すぐにメールで参加希望を出しました。楽しい旅になるぞと心弾んだのも束の間、何と左足に激痛が走リベッドから動けなくなってしまった。2~ 3日経ってようやく動けるようになって病院へ行くと、何と立派な痛風ですとの診断、尿酸値が91もあるではないか。痛風の原因は血液中の尿酸が増加し、針状の結晶となって足に溜り、それが神経を刺激するために起こるとされ、それこそ風が当たっても痛いということからその名がついたそうです。そして、痛風に一番悪いのがビールだと言うことは私も以前から知っていました。医者からも飲酒は禁止されました。

 では何のためにミュンヘンに行くのか。また旅を断念しなければならないのか。ドイツは私にとってタブーなのだろうか。航空券は格安のためキャンセルしても料金は戻ってこない。ドイツの学友会には参加登録をしてしまった。でもビールなしのオクトーバーフェストでは意味がない。でもまだ半年ある、頑張って尿酸値を下げようと、そこから涙ぐましい努力が始まりました。毎晩飲んでいたお酒もピッタリ止め、宴会でもウーロン茶で我慢しました。その努力の甲斐があって、5カ月後の検査では尿酸値が69に低下し、危険域を脱出することができました。ビールを飲むための禁酒、何か矛盾しているようですが、一念発起すごいものだと我ながら感心しました。

 晴れて出発(フェブリクという薬を持って)。ヒースロー経由フランクフルト。一泊してオクトーバエフェストの初日、ミユンヘンの中央駅に午前中に到着しました。駅の構内はバイエルン地方の民族衣装を着た老若男女でごった返していました。人の流れに乗って歩いて行くと間もなく通行止め。メイン道路はこれから開会式のためのパレードが通るので通行禁止となっていました。しばらく待つと、ビヤダルを満載し、周りに着飾った人たちの乗った馬車や、音楽隊がいくつも通過した。最後の馬車が通過すると通行規制が解除され、最後の馬車の後をぞろぞろついて歩き会場へ向かいました。(写真―パレード)

 たくさんの人で足元が見えないが、なんとなくグチャグチヤして歩きにくい。少し人がまばらになって下を見たら、何とお馬さんたちの落し物が一杯。それをみんなで踏みつけてもうベシャベシャ。あわてて道路の隅を歩くことにした。面白いことに、馬車に続いた人連の行列が終わると、今度は清掃車が横一列になってやってきて道路掃除をしてくれた。慣れた人は、その後について歩いていた。私もそうしました。(写真―2 清掃車)

 会場は普段は何もないだだっ広い公園ですが、お祭りの間際にテント小屋が10数個建設され、終わると翌日には撤去されるそうです。一つのテントの中だけでもご覧の通りの賑わいです。(写真―3 テント小屋 写真―4 テントの中)

 初日の会場は身動きもできないくらいの賑わい。いくら待っても順番が来ない。予約していないと無理なことがわかり、その日はあきらめて、次の日のオープン10時に合わせて入り、やっとビールにありつくことができました。それからの約2週間は、ジャーマンレイルパス8日間を買って、 ドイツの主だった町を観光で回りました。面白いことに、お隣の国オーストリアのザルツブルグまでドイツ鉄道(DB)のパスでいけるのです。ドイツの人達にとってザルツブルグは自分たちのものと思っているのかも知れません。

 観光の話は別にして、 ドイツ学友会との交流のお話をしましょう。ドイツ学友会の活動はとても活発で、いろいろな活動を展開しています。もっとも、会員のほとんどはロータリアンとのことです。私たちも見習うことがたくさんありました。その行事の一つが今回のオクトーバーフエスト・セレブレーションです。
毎年実施されているとのことで、参加者は10人前後の集まりですが、それだけに参加者同士仲良くなれ、とてもいい思い出ができました。金曜日の夜、前夜祭ということで指定のレストランに集合しましたが、大きなレストランでどのグループか会ったことがないので分かりませんでしたが、主催者の名前を言ったら席に案内してくれました。既に7~ 8名の学友が来ており、その中にシカゴのロータリー財団本部で学友会を担当している日本人の和田はるかさんご夫妻もこられていました。日本語が使えほっとしました。

 翌土曜日が本番。既に予約をしてあり、すんなりと席に着くことができました。会場内の様子は言葉では言い尽くすことができません。写真を見てください。1リットルのジョッキーをおつまみもほとんど食べずに、ひたすら飲み干しお代わり。歌ったり踊ったり。後半は長椅子に立って気勢をあげ、圧倒されました。予約したビール券は真ん中にミシン目があり、上がビール券、下がビールを運ぶオバチヤンのチップ券となっていました。このオバチヤンがすごい。年期が入っていて、1リットルジョッキーを10杯以上(ジョッキーの重さも含め、20kg近くはあると思う)を両腕と胸で支えて運んでくる。テーブルにドーンと一斉においてビール券と交換。この16日間で相当稼ぐとのこと。

 私のホームステイ先は日本人の栗田ゆかりさんという方のお宅で、ドイツに留学し、そこで結婚されご自分で事業をされています。この日は栗田さんも、バイエルン地方の民族衣装で参加されました。(写真―5 バイエルン地方の民族衣装を着たお嬢さんたちと)


 栗田さんのお宅に2泊させていただき、ミュンヘンを後にベルリン・ロンドン経由で帰国しました。この間、欠かさず薬を飲んだおかげで、毎日ビールを飲みましたが、少し足の親指がムズムズしただけで発作は起こさずに済みました。次の検査は12月、検査に向けて溜った尿酸を代謝すべく、また涙ぐましい努力が始まりました。